やわたのはちまんさんと親しまれる石清水八幡宮の門前名物といえば東海道五十三次にも描かれている走井餅

八幡市にある石清水八幡宮の門前に店を構える『やわた走井餅老舗』に足を運びました。お目当ては京都検定でも出題されるほどの歴史的評価の高い門前名物の走井餅。こちらの店構えは昔の風情を今に伝えるような歴史を感じる雰囲気です。

もともとは江戸時代の中期の明和元年（1764年）に滋賀県の大津で創業したお店ですが、明治43年（1910年）に今の石清水八幡宮の門前に場所を移したそうです。お店の中はしっとりと落ち着いた雰囲気で、窓からは美しい外庭が見えます。

茶房でお目当ての走井餅を注文。いつものように店内の様子を観察しながら待っていました。壁には安藤広重の東海道五十三次で描かれている大津宿の絵が。そこには大津にあった時の走井茶店も描かれています。走井餅の歴史の古さを感じます。

やわた走井餅老舗は茶房に隣接して持ち帰り用（お土産）の走井餅や鳩ヶ峯ういろなどの上品な和菓子を販売しているコーナーがあります。可愛らしいパッケージに入ったおかき類も並んでおり、外から気軽に入りやすい雰囲気となっていますのでお客さんの姿が絶えません。

走井餅が運ばれてきました。独特の形は刀の形を模したものだそうです。外側のお餅はとても柔らかく、伸びが良かったです。中にはきめの細かいこしあんが入っていました。上品な甘さで、何個でも食べられそうでした。

おいしい走井餅で大満足した後は、お店のすぐ近くの石清水八幡宮へ行ってみることにしました。石清水八幡宮は地元の人々からは『やわたのはちまんさん』と親しまれており、日本三大八幡宮の一つでもあります。

境内に入るとすぐに大きな鳥居（一の鳥居）があります。その先へ進んで行くと本殿ではなく、池や頓宮殿（とんぐうでん）という建物があります。平日だったこともあり人が少なくとても静かで、食後の散策には最適でした。

頓宮殿の前は大きな広場のようになっていて、そこから上を見上げると山の上にある本殿と地上を結ぶケーブルが通っているのが見えます。タイミングよくちょうどケーブルを車両が上から下へと通過（写真右上）していきました。

石清水八幡宮のすぐ近くを放生川（ほうじょうがわ）という小さな川が流れており、川沿いも歩いてみました。川には安居橋（あんごばし）という歴史的に由緒のある橋が架かっており、橋の向こう側には昔の風情を感じさせる蔵もありました。石清水八幡宮周辺は歴史的な風土を今に残す地域のように思います。

石清水八幡宮へのお参りに合わせて昔の人々も走井餅に舌鼓を打っていたことでしょう。門前名物として長年愛されてきた走井餅、お参りと合わせてぜひいただいてみてください。また、お店周辺には背割堤（せわりてい）という桜の名所や松花堂弁当の起源とされている松花堂庭園もあります。京都の八幡地域は魅力あふれる場所ですので、ぜひ足を運んでみてください。